しきファミリークリニック院長 志貴祐一郎です🫀
100歳まで元気に生きる。それは、誰しも一度は夢見るライフスタイルではないでしょうか。人生100年時代と言われる現代、平均寿命だけでなく「健康寿命」が重視されるようになってきました。中でも特に大切なのが、心臓の健康です。
心臓は私たちの体に血液を送り出すポンプの役割を果たしています。止まることなく、1日に約10万回、1年で約3,600万回、100年で約30億回以上も鼓動を打ち続ける、まさに「命のエンジン」。この心臓が元気であれば、日常生活はもちろん、老後の生活の質(QOL)も大きく向上します。
近年、日本人のライフスタイルは欧米化しており、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)や高血圧患者が増加しております。それに伴い心臓が不健康な方も増えています。
では、どうすれば100歳になっても心臓を元気に保つことができるのでしょうか?
今回は、医学的エビデンスに基づいた「心臓を元気に保つ7つの習慣」と、心臓の老化を防ぐための具体的なライフスタイルの工夫について解説します。
1.「毎日の運動」が心臓の筋肉を鍛える
心臓も筋肉の一種です。使えば強くなり、使わなければ弱っていきます。したがって、心臓を健康に保つためには、適度な運動が不可欠です。
特におすすめなのが有酸素運動。ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳などは、心肺機能を高め、血圧やコレステロール値の改善にも効果的です。
理想は週5回、1回30分程度の中強度運動。無理に長時間行うより、継続することが大切です。
近年の研究では、1日に数回の「短時間ウォーキング」を積み重ねるだけでも心臓病のリスクを下げる効果があることが示されています。エレベーターではなく階段を使う、1駅分歩くなど、日常生活の中で自然に体を動かす習慣を意識しましょう。
2.「食生活の改善」が血管の若さを保つ
心臓の健康を保つうえで、最も直接的な影響を与えるのが食生活です。動脈硬化、高血圧、糖尿病などの生活習慣病は、いずれも心臓に大きな負担をかけます。では、心臓に良い食事とはどんなものでしょうか?
キーワードは「地中海式+減塩」
- オリーブオイルやナッツの良質な脂肪酸
- 魚介類のEPA・DHA(血液をサラサラに)
- 野菜や果物の抗酸化物質と食物繊維
- 全粒穀物での糖質コントロール
- 塩分は1日6g未満
加工食品や揚げ物、赤身肉、バターなど飽和脂肪酸を多く含む食品は控えめに。
また、食事は「腹八分目」を意識することも重要です。食べすぎは肥満だけでなく、急な血糖値上昇により動脈を傷つけ、心臓にもストレスを与えます。
昨晩、ぐっすり眠れましたか?
睡眠不足は交感神経を刺激し、心拍数や血圧を上げてしまいます。慢性的な睡眠の質の低下は、高血圧や心筋梗塞、心不全のリスクを高めることが分かっています。
睡眠改善のポイント
- 寝る1時間前はスマホやテレビを控える
- 寝室を暗く、静かに保つ
- 寝酒ではなく、温かいお茶や読書でリラックス
- 寝る・起きる時間を一定に保つ
7〜8時間の深い睡眠を目指しましょう。睡眠時無呼吸症候群がある場合は、早めに相談を。
4. 「ストレス管理」で心を休める
現代人の心臓を蝕む最大の敵、それがストレスです。
ストレスを感じると交感神経が優位になり、心拍数が増え、血圧も上昇。慢性的なストレス状態は動脈硬化を進め、心臓病のリスクを高めます。
ストレスに強い心をつくるには?
- 瞑想や深呼吸で自律神経を整える
- 自然に触れる時間を持つ
- ペットとのふれあい、音楽、趣味の時間を大切にする
- 「ありがとう」と言う習慣を身につける
「感謝」と「笑い」にはストレスホルモン(コルチゾール)を下げる効果があることも科学的に明らかになっています。心臓を守るためには、心にも優しくなることが必要です。
5.「禁煙・節酒」は必須のステップ
タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は、血管を収縮させ、動脈硬化を進行させます。喫煙者は非喫煙者に比べて心筋梗塞のリスクが2〜3倍にもなるという報告もあります。
また、過度の飲酒は心筋症や不整脈を引き起こすことがあり、特に日本人に多いアルコール分解酵素の弱い体質では注意が必要です。
禁煙・節酒は心臓にとっての“最大の贈り物”。可能なら今日から、遅くとも明日から始めましょう。
6.「定期検診」で沈黙の病気を見逃さない
高血圧や高コレステロール、糖尿病などは、初期には自覚症状がほとんどありません。しかし、これらの状態が何年も続けば、確実に心臓や血管はダメージを受けています。
年に1度は健康診断を受け、自分の体の状態を把握しましょう。特に以下の項目は要チェックです。
- 血圧
- LDL(悪玉)コレステロール・HDL(善玉)コレステロール
- 空腹時血糖・HbA1c
- 心電図・心エコー(不整脈や心肥大の確認)
何か異常が見つかったとしても、早期であれば対応策はたくさんあります。
7.「人とのつながり」が心臓を守る
人は孤独になると、心臓病のリスクが高まるという研究があります。社会的な孤立やうつ傾向は、交感神経を刺激し、慢性的なストレス状態を招くためです。
逆に、友人や家族との交流がある人ほど長生きする傾向があります。
週に1度の電話、月に1回の食事会、地域活動への参加など、「誰かとつながる」ことを大切にしましょう。
最後に:心臓に優しい人生設計を
心臓の健康は一日にしてならず。今日の一歩が、10年後、20年後の心臓の状態を決めます。
- 食事に気をつける
- 少しでも体を動かす
- 深く眠る
- 笑う・感謝する
- 定期的に検診を受ける
どれも特別なことではありません。今日からできる小さな心がけです。
100歳の誕生日に、「今でも元気に歩けている」「毎日笑顔で過ごしている」と言えるために、今から“心臓にやさしい生活”を始めてみませんか?
記事を書いた人
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院長:循環器内科専門医
志貴 祐一郎
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