しきファミリークリニック院長 志貴祐一郎です🫀
みなさん、『脈が飛ぶ』と感じたことはありますか?
通常は脈が飛んでも症状を感じることはあまりありません。
頻度が増えたり、敏感な方だと脈が飛んだのが分かることもあります。
この症状は循環器内科を受診する代表的な症状のひとつです。
脈の乱れって不安になりますよね。
今回は、脈が飛ぶと感じる不整脈について、そしてそれが怖いものなのかどうかについて解説したいと思います。
不整脈とは?
◎そもそも不整脈って何?
『脈が飛ぶ』の解説の前に・・・
不整脈って何?よくわからん??
って言われることがしばしばあります。
なかなかピンと来ないですよね。
不整脈とは、心臓の脈拍が正常とは異なるタイミングで起きるようになった状態を言います。脈がゆっくりになったり、速くなったり、不規則になったりの状態です。1分間に50以下になる場合を徐脈、100以上になる場合を頻脈と言います。
単に速い遅いだけでは不整脈とは言えません。
マラソン選手は通常時でも脈拍40台なんてこともありますし、運動、興奮、熱がある、痛みなどで脈が100を超えることは誰にでも起こる正常な反応です。
一方、明らかな誘因がないのに突然脈が120以上になってドキドキしたり、40以下になってふらふらしたりは異常(不整脈)の可能性があります。
では、今回は脈が飛ぶ不整脈について解説していきたと思います。
脈が飛ぶとは?
◎脈が飛ぶ感覚は一般的に心拍の乱れで自覚します。
一瞬止まったり、急に早くなったりする感覚がある場合不整脈の可能性があります。
脈が飛ぶ症状の他、息が詰まる感じや脈が抜ける感じ、なんとなく嫌な感じとして自覚する方もいます。
脈が飛ぶ不整脈
脈が飛ぶ原因となる不整脈はこのふたつです。
1.期外収縮
2.心房細動
・期外収縮
脈が飛ぶ代表の不整脈です。
しかし、中年以降にはもれなくあるといって過言ではない不整脈です。
良性の不整脈のひとつで、ほとんどの場合病的な問題はありません。
健診で引っかかって病院を受診してみたものの、大丈夫なやつだよ!とか経過観察で!と言われたことはありませんか?大概コレです。
期外収縮と診断された患者さんの10年間の追跡調査をした結果、正常な人と生存率が同等というデータもあります。命にかかわることがほとんどないため多少症状があっても治療をしないこともしばしばあります。
・心房細動
不整脈の代表的な疾患のひとつで、これも脈が飛ぶと感じる方もいますが、どちらかと言うと脈がバラバラとか、脈が速いとして自覚することが多い不整脈です。
こちらは脳梗塞を起こしたり、心不全になったりと悪さをするタイプなのでまた改めて解説させていただきます。
原因
基本的には問題のない期外収縮ですが、原因によっては注意が必要なこともあります。
・自律神経の異常(心配ご無用)
期外収縮は自律神経のバランスが崩れたときに起こることが多いです。
例えば・・
・睡眠不足、疲れ、ストレス
・カフェインの飲みすぎ
・アルコールの飲みすぎ
これらが理由の場合はほとんど心配ありません。
・心臓の異常(要注意!)
期外収縮は、心筋梗塞・狭心症、心筋症、心臓弁膜症、心不全など心臓の病気が原因で起こることもあります。
この場合は見過ごせません。
治療が必要となってきます。
検査
・心電図検査
一番お手軽な検査で不整脈の種類などを確認するためにまず行います。
不整脈だけでなく心臓のいろいろなことが分かるので必須の検査です。
ただ、不整脈についてはその時に症状が出ていないと分からないことも・・
・ホルター心電図検査
24時間連続して記録するための検査です。
この検査は、寝ている間もずっと記録してくれるので短時間の発作的な不整脈も見逃しません。
・心臓超音波検査
心臓の構造や機能を調べる検査です。
不整脈の原因が心臓にある場合この検査で診断がつくこともあります。
・心臓カテーテル検査(電気生理学的検査)
ただの期外収縮でここまでやることはありませんが、心臓の中にカテーテルを入れて電気的な刺激を与えることでより詳細な情報がわかります。
入院が必要になります。
・Apple watchなど
検査というと語弊がありますが、不整脈診断の補助となり得るデバイスです。
心電図やホルター心電図の弱みでもある使用しているときにしか記録できないという点を補ってくれます。Apple watchもつけている間だけという点は同じですが、つけている時間が段違いに長いですよね。私は充電しているとき以外はつけっぱなし派です!
Apple watchのデータだけで確定診断とすることはありませんが、補助という意味では非常に期待できると考えています。
何度心電図やホルター心電図をやっても不整脈が見つからなかった方がApple watchをきっかけに分かったなんてことも経験したことがあります。
治療
◎基本的には治療不要
基本的には心臓に異常がある場合以外は治療の必要はありませんが、生活習慣の改善である程度予防することは可能です。
・禁煙
・アルコールの適度な摂取
・ストレスの軽減
・適度な運動とバランスの取れた食事
その他高血圧や糖尿病のコントロールなども重要です。
心配ないと言われても不整脈があるという事がストレスになり、そのストレスで睡眠不足となる。それらが誘因で期外収縮が出る。という悪循環を引き起こすことがあります。
一番難しいかもしれませんが『気にしない』も非常に大事です。
病は気からです!あまり気にしないようにしましょう!!
どうしても気になるという場合は、内服治療やカテーテル治療などもあります。
ただ、健康な人でも起こる不整脈なので100%なくすことは非常に難しいです。
まとめ
脈が飛ぶという症状を感じたら不整脈の可能性があります。
多くの場合治療は不要ですが、健診でE判定が出たり不整脈を持っていると自覚してしまうと不安でより悪化してしまうこともあります。
医師からの『心配ないよ』の一言で全く自覚しなくなる方もいます。
健診で指摘されたり、自覚症状がある場合は一度当院へご相談ください。
怖い不整脈が隠れていないか調べてみましょう!
しきファミリークリニック
院長 志貴祐一郎