しきファミリークリニック院長 志貴祐一郎です🫀
花粉症持ちの方にとっては怖い時期になってきましたね。
最近では低年齢化で、お子さんでもかなり花粉症・アレルギー性鼻炎がみられます。
今回は、花粉症・アレルギー性鼻炎の治療について解説したいと思います。
最近は薬も改良され、ある程度即効性も期待できますが、一旦症状が出てしまうとコントロールが難しいことも多々あります。
毎年決まって症状が出る方は症状が出る前から治療を開始する(初期治療)がお勧めです!予防的な治療ですね。
毎年つらい思いをされている方でも、症状が出始めたら病院に行って、薬をもらって、だめなら点鼻もして・・・なんて方が多いと思います。
しかし、症状が出る前から予防的に服用することでピーク時の症状を軽くする効果が期待できます。一般的に花粉症・鼻炎に使われる薬(抗アレルギー薬、ロイコトリエン拮抗薬、ステロイド点鼻薬)は、効果が出始めるのに1-2週間かかると言われています。症状が出てからではなかなか実感しづらいこともあります。そのため、早めに服用を始めて、花粉飛散時期には、薬がしっかり効いている状態を作っていきます。
『じゃあ、いつから飲めばいいのだろう??』と思われる方、↓の表をみてください
スギ・ヒノキは2月からがメインシーズンです。
今が服用を始める時ですよ👍👍
では、どのような治療がよいのでしょうか??
~大人とこどもでは治療薬が違う?~
当院はお子様も多く来院されるので先にお伝えします!
基本的には一緒です🙇♂️
ただ、体重によって量の違いや飲み方が違う場合があります。また、薬剤によっては≪〇歳以上≫のように年齢によって適応があるものとないものがあるので注意が必要です。お父さん、お母さんの薬を飲ませてみよう はやめてくださいね。
薬剤によっては、副作用として眠気が強く勉強に集中できなくなってしまうものや大人の方は運転を避けた方がよいものもあります。さらにけいれんのリスクがあるものもあったりします。
~アレルギー性鼻炎の治療薬~
専門の先生方が作成したガイドラインがありますので、上記を参考に患者さんに応じて治療薬を選択していきます。
では、実際の治療薬について解説していきたいと思います。
~抗ヒスタミン薬~
①抗ヒスタミン薬って何?
くしゃみ、鼻水にはまずこれ!と言っていいほどよく処方される薬です。ドラッグストアでも同じ成分の薬が販売されています。
鼻のアレルギー症状は、花粉などがからだに侵入したのをきっかけにアレルギーに関係するマスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの物質が放出され、神経を刺激したり、粘膜が脹れることによって起こります。抗ヒスタミン薬は、このヒスタミンが受容体とよばれる受け皿にくっつく前に、受容体にくっついてヒスタミンをブロックすることで症状が出ないようにします。
ヒスタミンは悪者かというとそうでもありません。ヒスタミンは、脳内では覚醒状態の維持や記憶学習能の修飾などの働きもあります。ヒスタミンがブロックされることで、眠気や判断力の低下、学習能力の低下などの副作用が起きる可能性があります。
②抗ヒスタミン薬の種類
現在使える抗ヒスタミン薬は第1世代と第2世代があります。
ざっくり言うと第1世代は初期に開発されたもので、即効性があるが副作用強め、第2世代は効果は落とさず副作用がかなり軽減されています。
★第1世代抗ヒスタミン薬
初期の薬で、即効性があるものの、効果持続時間が短く、また脳への影響が大きく強い眠気や集中力低下などの副作用があります。また、口の渇きや便秘などもあり、緑内障や前立腺肥大のある方には使えません。
第2世代発売後は使用される頻度は減っています。私も、基本的には処方することはありません。
★第2世代抗ヒスタミン薬
第1世代の欠点を改良した薬剤です。
第1世代に劣る部分もありますが、全体的なバランスもよく現在の主流です。最近の薬はさらに眠気等も少なく運転注意・禁止の記載がないものあります。
③第2世代抗ヒスタミン薬の眠気と運転について
抗ヒスタミン薬の代表的な副作用として眠気や集中力低下があります。
脳への移行具合によって副作用の出やすさに違いがあります。
これは脳への移行を示したものです。上の方に記載のあるものが第2世代です。
やはり第2世代の方が移行しにくいですね。ただ、効果や副作用は個人差があるため使ってみて自分に合うものを見つけるしかありません。
薬の添付文書(説明書)には以下のような記載があります。
- 自動車運転が可能な薬剤
以下の薬剤は運転の注意記載はありません。
ビラノア®(ビラスチン)
デザレックス®(デスロラタジン)
アレグラ®(フェキソフェナジン)
クラリチン®(ロラタジン)
- 自動車運転可能だが注意を要する薬剤
以下の薬剤は添付文書に、【眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること】と記載してあります。
タリオン®(ベポタスチンベシル)
アレジオン®(エピナスチン)
エバステル®(エバスチン)
- 自動車運転は不可の薬剤
以下の薬剤は添付文書に、【眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること】と記載してあります。
ルパフィン®(ルパタジン)
ザイザル®(レボセチリジン)
ジルテック®(セチリジン)
アレロック®(オロパタジン)
副作用は眠気だけではありませんので、眠気がなければよいというわけではありません。集中力や判断力が低下している場合も副作用の可能性があります。より新しい薬だから大丈夫といかないところ、人によって副作用が出たり出なかったりと難しいところではありますが、飲み始めて違和感があった場合は変更が必要かもしれません。
~妊娠中、授乳中だけど大丈夫?~
妊娠中はホルモンの影響もあり、症状が悪化することがあります。薬なしでは乗り切れない方も多いことでしょう。
妊娠の週数によりリスクは異なるためできるだけ服用は避けた方がいい時期もあります。ただ、我慢・ストレス自体が赤ちゃんに悪影響を及ぼすこともあります。
第2世代の抗ヒスタミン薬は妊娠中・授乳中でも使用できるものが多くあります。
当院で処方している薬剤はもちろんOK!!
~ステロイド点鼻薬~
ステロイドの点鼻薬は、最も症状改善効果が強い薬剤の1つです。
点鼻薬単独と抗アレルギー薬単独の効果を比較した研究結果でも点鼻薬の方が優れているという報告もあります。
ステロイドと聞くと怖い薬というイメージの方もいらっしゃるかもしれません。内服薬の場合、適切に使用しないと怖いこともありますが、点鼻については、全身への影響は極めて低く、いわゆるステロイドの副作用は少ないとされています。
図3にも示した通り、ステロイドの点鼻薬はガイドラインでも軽症から最重症まで幅広くお使いいただける薬剤です。
~ロイコトリエン拮抗薬~
ロイコトリエンは上述しましたが、ヒスタミンと同様アレルギー反応によって放出されます。ヒスタミンは花粉などがからだに侵入してすぐにくしゃみ・鼻水を引き起こすのに対して、ロイコトリエンは少し時間がたってから症状が現れる遅発型の原因となります。ロイコトリエンは血管を拡張させて鼻の粘膜を腫れさせます。ロイコトリエン拮抗薬はロイコトリエンが受容体(受け皿)にくっつく前に受容体と結合することで、腫れなどを防ぎます。なので、主に鼻詰まりを改善してくれます。
当院では主に、オノン®(プランルカスト)やキプレス®(モンテルカスト)などを使用しています。
また、花粉症で咳で困る方もいます。アレルギー反応で気管支に炎症を来たし、気道狭窄などで咳が出ます。ロイコトリエンは気管支を収縮させる作用もあるため、これをブロックすることで気管支を広げ咳への効果を示します。
~まとめ~
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
今回は花粉症・アレルギー性鼻炎の治療薬について解説しました。
しかし花粉症対策は薬剤だけではありません。
●アレルゲンを避ける対策
●マスク
●鼻うがい
など併せて行っていただくのが効果的と考えます。
薬剤選択については、患者さん一人ひとりに合わせて行っております。
症状によっては今回ご紹介しなかった薬剤を使用することもあります。また当院では行っておりませんが、舌下免疫療法や外科治療などもあります。
お気軽にご相談ください!
記事を書いた人
↓↓↓
院長:循環器内科専門医
志貴 祐一郎
院長プロフィール👈クリック