こんにちは。しきファミリークリニックスタッフです。
街角に色とりどりの紫陽花が咲き始め、季節の移り変わりを感じる頃となりました。
この時期は、気温や湿度の変化から体調を崩しやすく、得に「夏の三大感染症」には注意が必要です。
お子さまから大人までかかりやすい感染症だからこそ、予防を心がけて元気に夏を過ごしたいですね。
今回は、夏の三大感染症と呼ばれる『ヘルパンギーナ』『手足口病』『プール熱(アデノウイルス、咽頭結膜熱)』これらの感染症についてお話ししたいと思います。
【ヘルパンギーナ】
夏風邪のもっとも代表的な病気の一つです。ウイルス性の感染症で乳幼児(0歳~5歳)に多くみられます。大人の方も免疫力が落ちていると感染し発症します。
主な症状
2~4日の潜伏期間後38度以上の急な発熱と、のどの痛みが特徴で、咽頭や上顎の奥の粘膜に特有の水ぶくれがいくつもできます。痛みで食欲不振になることもあります。
発熱は2~3日で下がることが多いですが、喉の痛みは3~5日続きます。
原因と感染経路
原因はエンテロウイルスの一種(主にコクサッキーウイルス)です。
飛沫感染(咳やくしゃみ)接触感染(おもちゃ、タオルなど)
便からもウイルスが排出されるため、オムツ交換時の手洗いが大切です。
治療とケア
特効薬はなく、症状を和らげる対症療法が中心となります。
まれに髄膜炎などの合併症を起こすことがあるため、急性期は自宅での安静が必要です。
水分補給をこまめに行い、食事はのどに優しい(冷たいゼリーやプリン、お粥など)を摂取してください。
登園、登校の目安
発熱がなく(解熱後1日以上経過)普通通り食事ができることです。それまではお家で安静にしていてください。
【手足口病】
口の中、舌やぽっぺの内側に口内炎ができ、手のひら、足の裏や指先、ひざ、
おしりなどに2~3mm程度の水疱性の発疹ができるのが特徴です。
ウイルスのタイプがいくつもあるため、何度も感染することがあります。
大人の方が感染すると発疹など症状が強く出る場合もあります。家族全員での予防が
大切です。
主な症状
手のひら、足の裏、ひざ、おしりなどに水疱性の発疹ができます。口の中には口内炎ができ痛みのため食事ができなくなることもあります。
発疹は1週間ほど続き、痛みやかゆみを伴うことがあります。
原因と感染経路
原因となるウイルスの種類はいくつもあるため、何度も感染することがあります。
ウイルスは飛沫感染、接触感染、更には便を介してもひろがります。感染力が強く、 家庭内や保育施設などで広まりやすいため、こまめな手洗い、タオルや食器の共有を
避けましょう。アルコール消毒が効きにくいウイルスなので流水と石けんでしっかりと手洗いをしてください。
治療とケア
特効薬はなく、発熱や痛みに対しての対症療法が中心です。
口が痛くて食べれなくなることがあるため、なるべく水分をとるようにしたり、喉ごしのいい、ヨーグルト、豆乳、ゼリーやプリンなど摂取してください。
合併症として髄膜炎を起こすことがあります。急性期は安静にしていてください。
登園、登校の目安
発疹が残っていても、発熱がなく(解熱後1日以上経過)食欲も戻ったら大丈夫です。
未就学児が集まる場所では、一気に感染が広がる病気のため、園によっては基準が
設けられている場合があるので確認をしてください。
【プール熱(アデノウイルス、咽頭結膜炎)】
プール熱とも言われますがプールだけでうつるわけではありません。
正式には「咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)」と呼ばれアデノウイルスによる
感染症です。アデノウイルスには約100種類以上の型があり、感染する型と部位で
呼び方が変わります。多いのは「咽頭結膜熱」と「流行性角結膜炎」です。
主な症状
高熱が4~5日続き、目が充血して目やにが出たり、喉が腫れて痛くなります。
頭痛、倦怠感、食欲不振もあります。
経口、飛沫感染するので日常の集団生活の中でも流行します。
目だけに炎症がある場合を流行性角結膜炎(はやり目)といい非常に感染力が強く、目の充血、かゆみ、目やにもひどくなりますので注意が必要です。
喉に炎症がある場合をアデノウイルス咽頭炎といいます。
どちらも迅速検査で診断できます。
原因と感染経路
アデノウイルスが原因で飛沫感染(咳、くしゃみ)接触感染(目をこすった手、タオルなど)またプールでの感染は(水泳ゴーグルやタオルの共有)などで感染力は非常に強いです。潜伏期間が2~14日と長く、感染力も強いので園や学校、家庭内でひろがります。アルコール消毒が効きにくいので、流水、石けんでこまめな手洗いをして
家族が感染したときは、食器、タオルの共有をしないようにしてください。
治療とケア
この病気もウイルスによる感染症のため、特効薬はなく症状に対するものになります。発熱時は解熱剤、目のかゆみ、充血には目薬を使用します。
咽頭結膜熱も流行性角結膜炎も重症化することがあります。高熱でぐったりしている、水分がまったく飲めない、視界がぼやけるなどの症状が見られたら、すぐに再受診してください。
登園、登校の目安
感染力も強いため症状がなくなるのはもちろん、1週間ほどは集団生活はお休みしてください。
登園、登校の目安は主な症状(発熱、咽頭発赤、眼の充血)が完全になくなって2日経過してからになります。
【まとめ】
今回お話しした感染症はウイルスによるもので、予防するワクチンや特効薬もありません。抗生物質も効果はありません。
そのため基本的な予防は、感染者との接触を避け、マスクの着用、手洗いやうがい、タオルを共有しないことが大切です。
症状が治まっても、2~4週間くらいは便にウイルスが残っていることがあります。そのためお子さんのおむつ替えの後は、しっかりと手洗いをしましょう。
もし感染しても軽症で済む場合が多いですが、まれに重症化することがあります。水分が取れない、尿が出ない、高熱がありぐたっりしているなどの異変がある時は必ず受診してください。
体力の回復には、タンパク質が不足しないように、白身魚、卵、豆腐などの柔らかくて食べやすい物を摂取するといいです。しかし、喉の痛みが強くて食べられないときは、ヨーグルト、アイスクリーム、プリンやゼリー、豆乳など喉ごしのいいものを摂取してください。水分補給もこまめにしてください。
また、免疫力が低下していると大人の方も感染することがあります。
日頃から生活のリズムを整えていきたいですね。
毎年多くの方がかかる「夏の三大感染症」。少しでも『知っている』ことが、早めの気付きと対応につながります。心配な症状があれば無理をせず、いつでもご相談くださいね。
安心して過ごせるようお手伝いできれば幸いです。
ご家族皆さまが元気に夏を楽しめますように。
今後ともよろしくお願いいたします。