しきファミリークリニック院長の志貴祐一郎です🫀
肥満症第2回からは治療についてです。
肥満症の治療において、もっとも基本となるのは生活習慣の改善です。
特に「食事療法」と「運動療法」は、薬に頼る前にまず取り組むべき土台となる方法です。
今回は、具体的な方法とともに、無理なく取り組める工夫をご紹介します。
■ まずは食事療法から
肥満症の食事療法の基本は「摂取エネルギー < 消費エネルギー」。
とはいえ、極端な糖質制限や、過度な絶食は一時的な減量になっても長続きせず、リバウンドの原因になります。
大切なのは「日々の食習慣を少しずつ見直すこと」です。
● カロリーだけでなく“質”にも注目
食事療法では、以下のような工夫が効果的です。
- 糖質(特に甘い飲み物や菓子類)を控える
- 野菜をしっかり摂る(1日350g以上が目標)
- たんぱく質は肉・魚・豆などバランスよく
- 脂質は揚げ物を控え、植物油や青魚を活用
- 食べるスピードはゆっくり、よく噛んで(20分以上かけて)
- 主菜(おかず)は「蒸す・煮る・焼く」が基本、揚げ物は週1回程度
- 間食は1日1回、果物やナッツ類などヘルシーな選択を
- 夜9時以降の食事は控える(夜間はエネルギー消費が少ないため)
また、日本肥満学会のガイドラインでは、1日あたり500~700kcalの摂取制限が推奨されています。
これは月に約2〜3kg、年間では10kg以上の減量につながる可能性があります。

■ 次に運動療法 ~無理なく体を動かす~
食事療法と並んで重要なのが運動療法です。
とくに「有酸素運動」は体脂肪を燃やすのに効果的とされています。
● 有酸素運動の例
- ウォーキング(1日30分以上、週3〜5日)
- 自転車こぎ、ジョギング、水泳などもOK
- 階段を使う・1駅歩くなどの「生活の中の工夫」も大切
運動は、継続が最も大切です。最初から激しい運動をする必要はなく、1日10分の散歩からでもかまいません。
体を動かす習慣が、代謝の改善やストレス解消にもつながります。
■ 継続できる工夫がカギです
生活習慣を変えるには、ストレスを感じずに**「続けられる方法を見つけること」**がポイントです。
無理をしすぎず、「少しずつでも変化が出てくると嬉しい」と思えるようなペースで取り組んでいきましょう。
■ それでも難しい方には次のステップがある
「生活を変えようとしても、どうしても体重が減らない」
「膝や腰が痛くて運動ができない」
そんな方もいらっしゃいます。
次回の記事では、**医学的に注目を集めている新しい治療法「薬物療法」**についてご紹介します。
中でも話題の「ウゴービ」という薬について、効果やリスクも含めて詳しく解説していきます。
記事を書いた人
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院長:循環器内科専門医
志貴 祐一郎
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