新しい肥満症治療薬「ウゴービ」―健康を守るもう一つの選択肢(3回/全3回)|しきファミリークリニック|岡崎市柱曙の内科・循環器内科

愛知県岡崎市柱曙1-10-15

トピックス TOPICS

新しい肥満症治療薬「ウゴービ」―健康を守るもう一つの選択肢(3回/全3回)

しきファミリークリニック院長の志貴祐一郎です🫀
 
 

これまで第1回・第2回では、肥満症の基礎知識や食事・運動による生活習慣の改善についてお伝えしました。
それでも、「しっかり取り組んでいるのに思うように体重が減らない」とお悩みの方も少なくありません。
もちろん食事と運動による生活習慣の見直しが基本ではありますが、そうしたケースで注目されているのが、薬による治療です。
今回は、医学的に注目を集めている肥満症の新しい治療薬「ウゴービ」について最新の知見も含めてご説明します。
 
 


 

■ ウゴービってどんな薬?

ウゴービ(Wegovy®)は、「セマグルチド」という成分を使った注射薬で、GLP-1受動態作動薬に分類されます。
GLP-1は人の体内にもともと存在するホルモンで、食事の後に分泌され以下のような働きをします。

・脳に「満腹」のサインを送る
・胃の動きをゆっくりにして、食後の満腹感を持続させる
・血糖の急な上昇を抑える

ウゴービは、このGLP-1の働きを模倣することで、無理なく食事量を減らすことができ、結果的に体重減少につながる薬です。

週に1回、自分で皮下注射をするタイプで、無理な食事制限をせずとも自然と食事量が減り、満腹感が持続します。
 
 


■ 驚くべき効果と臨床試験の成果

海外で行われた大規模な臨床試験では、ウゴービを使った方は平均で体重の10〜15%の減量ができたという結果が出ています。
一方で生活習慣改善のみでは約2.4%にとどまったという結果も。
  

 
さらに注目すべきは、「肥満による合併症」を防ぐ可能性があることです。

2023年に発表された「SELECT試験」という研究では、ウゴービを使用した肥満症の方において:
 

  • 心筋梗塞

  • 脳卒中

  • 心血管死

 
これら重大な心血管イベントのリスクが約20%減少するという結果が示されました。

つまり、ウゴービは「体重を減らす」だけでなく、命を守る薬とも言えるのです。 
 
 

■ 副作用や注意点について

ウゴービは高い効果が期待できる反面、いくつか注意点もあります。
以下のような副作用が報告されています。
 
比較的よくある副作用(初期に多い)
・吐き気、便秘、下痢、腹痛などの胃腸症状
 →食欲が抑えられるために起こることが多く、使い始めに出やすいですが多くは時間と共に慣れて改善します。
  そのため、薬剤の増量も4週間をかけて行います。
 
注意が必要な副作用
・低血糖
 →低血糖が起きにくい薬剤ではありますが、他の糖尿病治療薬を服用している方は注意が必要です。
・胆のう疾患(胆石、胆嚢炎)、膵炎
 →発熱や激しい腹痛など出現した場合は適切な処置が必要となります。

使用できない方
・妊娠中、授乳中の方
・過去にGLP-1受容体作動薬で思い副作用のあった方

使用にあたっては、医師がしっかりと問診・検査を行い、適応の有無を判断しますので、まずはご相談ください。
  
 

■ 当院での取り扱いと方針

現在、日本国内でもウゴービは承認されていますが、保険診療で使用するには国の施設基準を満たす必要があります。

当院では、その施設基準を満たしていないため、保険での処方は行っておりません。
ただし、医学的に適応があると医師が判断した場合には、自由診療(自費)での処方が可能です。

当院では「美容目的」ではなく、「医学的治療としての適応」に限ってご提案しております。
そのため、基本的にはBMI 27㎏/m²未満の方への処方は行いません。
また、体重減少が期待できる他の薬剤(糖尿病に対してのみ保険適応となっている薬剤など)の自費診療による処方も行っておりませんので、あらかじめご了承ください。
 


 

費用
 
項目 料金(税込)
0.25㎎ 2本(2週間):8800円
4本(4週間):17600円
0.5㎎ 2本(2週間):12100円
4本(4週間):24200円
1.0㎎ 2本(2週間):17600円
4本(4週間):35200円
初診料 5500円
問診・身体測定・血液検査・尿検査
検査 3300円
血液検査・尿検査

※1 1.7㎎、2.4㎎については状態を診ながらご案内させていただきます
※2 検査については必要に応じて適宜ご案内します
※3 再診料は薬剤の料金に含みます。ただし、検査を行う場合は上記の通り費用が発生します


 

■ どんな人に向いている?

ウゴービはすべての方に向いているわけではありませんが、以下のような方には選択肢となり得ます:

  • 生活習慣の改善を続けても効果が出ない

  • 糖尿病や高血圧、脂質異常症などを合併している

  • 医師から減量が必要と指導を受けている

副作用としては、吐き気や便秘などの胃腸症状が出ることがありますが、多くは軽度で一時的です。
 
 


■ 医学の力を、無理のない減量に

ウゴービは、生活習慣の改善と組み合わせることで、より確実に肥満症を改善できる治療法です。
そして何より、「心筋梗塞や脳卒中を防ぐ」ことができるという大きな可能性も秘めています。

「薬に頼るのは抵抗がある…」という方もいらっしゃると思いますが、無理なく、医学的に安全に痩せていくことで、生活の質が大きく変わることも事実です。

ご自身にとって本当に必要かどうか、一緒にじっくり考えてみませんか?
気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。
 
 

記事を書いた人
↓↓↓
院長:循環器内科専門医
志貴 祐一郎

院長プロフィール👈クリック