
しきファミリークリニック院長、循環器・不整脈専門医の 志貴祐一郎 です🫀
健康診断の心電図で「期外収縮」 という言葉を見てドキッとした方、あるいは日常生活の中で「今、脈が飛んだ気がする」、「胸が一瞬ドクンとした」そんな経験から、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
期外収縮は、不整脈の中でも非常に頻度が高く、誰にでも起こりうるものです。
一方で「不整脈=危険」「突然死につながるのでは?」というイメージから、必要以上に不安になってしまう方も少なくありません。
今回は、不整脈専門医の立場から
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期外収縮の正体
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なぜ不快な症状が出るのか
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本当に心配すべきケースの見分け方
を、できるだけわかりやすく解説します。
1. 「期外収縮」とは?― 心臓の“フライング”
心臓は通常、右心房にある 洞結節(どうけっせつ) という司令塔から、一定のリズムで電気信号が出ることで規則正しく拍動しています。
期外収縮とは、この司令塔とは別の場所から、予定よりも早いタイミングで電気信号が出てしまう現象です。
イメージとしては、「1、2、3、4…」と手拍子をしている途中で、突然「1、2、(3!)、4…」とフライングが入る状態です。

発生する場所によって、次のように呼び分けます。
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上室性期外収縮:心房からのフライング
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心室性期外収縮:心室からのフライング
心電図では区別しますが、「早く打ってしまった1拍が混ざる」 という基本的な仕組みは同じです。
2. なぜ「ドキン」「脈が飛ぶ」と感じるの?
期外収縮が起きると、
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ドキンと強く脈を感じる
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喉まで突き上げられる感じ
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一瞬、心臓が止まったような感覚
を覚える方が多くいます。
これは、期外収縮の直後に心臓が次の拍動まで少し長く休むという特徴的な動きが起こるためです。
その分、次の拍動では血液が多くたまった状態で、強く押し出される
→ これが「ドクン!」と感じる正体です。
🔍 ポイント
症状の強さと、不整脈の危険度は必ずしも比例しません。
実際、期外収縮があってもまったく自覚のない人も大勢います。
3. 原因は病気だけじゃない ― 生活習慣との深い関係
期外収縮は、健康な心臓でも1日に数十〜数百回は起きている と言われています。
特に増えやすい要因として、次が知られています。
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加齢:年齢とともに増える傾向
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ストレス・睡眠不足:自律神経の乱れ
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カフェイン・アルコール・喫煙:心臓への刺激
健診でたまたま記録されただけの期外収縮の多くは、こうした要因による治療不要な良性の不整脈です。
4. 【重要】専門医が警戒する「注意すべき期外収縮」
とはいえ、すべてを「放置してよい」わけではありません。
私たち不整脈専門医が特に注意するポイントは、次の3つです。
① 回数が極端に多い
24時間心電図(ホルター心電図)で1日の拍動の10〜20%以上(数万回)の期外収縮がある場合、将来的に心臓のポンプ機能が低下するリスクがあります。
② 心臓の病気を背景にしている
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心筋梗塞の既往
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心肥大
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弁膜症
などがある方では、より重篤な不整脈へ移行する可能性があるため慎重な評価が必要です。
③ 連続して出る・形がバラバラ
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3拍以上連続する
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発生源が複数ある
こうした場合も、詳しい検査が勧められます。
5. 「本当に安心」するための検査ステップ
当院では、期外収縮を指摘された方に対し、次の検査を組み合わせて評価します。
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12誘導心電図
→ 不整脈の種類・形を確認
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心臓超音波(心エコー)検査
→ 心臓の構造異常がないか(最重要)
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ホルター心電図
→ 24時間の回数・連発・時間帯ごとの変化を評価
これらを総合して、「心配いらない期外収縮かどうか」 を判断します。
6. 不整脈専門医からのメッセージ
期外収縮は、いわば「心臓のしゃっくり」 のようなものです。
多くは命に関わらず、「大丈夫ですよ」と分かるだけで症状が軽くなることも少なくありません。
ただし、それが本当に“しゃっくり”なのかどうかを見極めることが大切です。
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ドキンとする感じが続く
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健診で指摘されてから不安が消えない
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夜、脈が気になって眠れない
そんな時は、ぜひご相談ください。
不整脈専門医として、不安を安心に変えるお手伝いをします。
【次回予告】
心電図シリーズ第5回は「脈が遅いと言われたら?」徐脈・房室ブロックについて、スポーツマンに多い理由も含めて解説します。
