
しきファミリークリニック院長の志貴祐一郎です🫀
「健診で“心房細動(しんぼうさいどう)の疑い”と言われてしまった」
「最近、なんとなく脈がバラバラに飛ぶような気がする」
このようなご相談は、当院の循環器内科外来でも非常に多くいただきます。
心電図シリーズ第6回となる今回は、不整脈の中でも特に注意が必要な「心房細動」についてのお話です。
「心臓の病気」と聞くと、すぐに命に関わるのではないかと怖くなってしまいますよね。
しかし、心房細動はすぐに心臓が止まってしまうような状態ではありません。
大切なのは、正しく知って、早めに必要な対策(治療)をとることです。
不整脈専門医が、その仕組みと「なぜ放置してはいけないのか」をわかりやすく解説します。
1. 心房細動とは?心臓のリズムが「バラバラ」になる状態
通常、健康な心臓は「トン・トン・トン」と一定のリズムで規則正しく動いています。
これは心臓の中にある優れた発電所が、等間隔で電気信号を出しているからです。
しかし「心房細動」が起きると、心臓の上の部屋(心房)が痙攣(けいれん)するように細かく震え、この電気信号が乱れてしまいます。
その結果、どうなるのでしょうか?
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脈が不規則になる(「トト…ン、トン…ト」とバラバラになる)
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心拍数が急に速くなることがある
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心臓の中の「血液の流れ」がよどむ
2.どんな症状が出る?「無症状」が一番の落とし穴
心房細動の症状は、人によって全く違います。
【よくある症状】
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動悸(胸がドキドキする、バクバクする)
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少し動いただけで息切れがする
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以前より疲れやすくなった、体がだるい
しかし、ここで最も注意していただきたい事実があります。 それは、「まったく症状がないまま、健診で初めて見つかるケースも多い」ということです。
症状がないからといって、心臓に負担がかかっていないわけではありません。
むしろ、気づかないうちに病状が進行してしまうため、健診での指摘は「命を守る早期発見のチャンス」と言えます。
3. 本当に怖いのは不整脈そのものではなく「脳梗塞」
心房細動で私たちが最も警戒し、防がなければならないもの。それは「脳梗塞(のうこうそく)」です。
なぜ、心臓の病気が脳につながるのでしょうか?
心房が細かく震えてうまく収縮できないと、心臓の中で血液がスムーズに流れず、「川のよどみ」のようになります。
血液はよどむと、そこで固まって「血栓(血のかたまり)」を作ってしまいます。
この血栓が血流に乗ってポンと脳へ飛んでいき、脳の太い血管をパツンと詰まらせてしまうのが「心原性脳塞栓症」と呼ばれる恐ろしい脳梗塞です。
このタイプの脳梗塞は、範囲が広くなりやすく、重い後遺症が残るリスクが高いという特徴があります。

4. どんな人がなりやすいの?
心房細動は、決して珍しい病気ではありません。特に以下のような方はリスクが高くなります。
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高血圧の指摘を受けている方
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ご高齢の方(加齢とともにリスクが上がります)
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心筋梗塞や弁膜症など、他の心臓の病気がある方
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糖尿病の方、お酒をよく飲む方、睡眠時無呼吸症候群の方
ただし、生活習慣の乱れやストレスなどから、30代〜40代の若い方でも起こることがあります。
5. 治療でしっかり予防できる時代です!
「脳梗塞になるかもしれないなんて怖い…」と不安にさせてしまったかもしれません。
しかし、安心してください。 現在の医療では、心房細動は適切に治療することで、脳梗塞のリスクを大きく(劇的に)下げることができる病気になっています。
当院では、患者様お一人おひとりのご年齢やライフスタイルに合わせて、主に以下の2つのアプローチで治療を行います。
① 血液をサラサラにするお薬(抗凝固薬)
最も大切な治療です。
血栓(血のかたまり)をできにくくするお薬を飲むことで、脳梗塞を強力に予防します。
近年は、食事制限が少なく安全性の高いお薬が主流になっています。
② 脈を整える治療
お薬を使って脈の速さ/リズムを正常に保ち、心臓への負担を減らします。
状態によっては、根治を目指す「カテーテル治療(アブレーション)」が可能な専門病院へスムーズにご紹介することも可能です。
6. 岡崎市の皆様へ:こんな場合はすぐにご相談を
心房細動は「気づかないうちに進む」ことが最大の脅威です。
だからこそ、次のような方は放置せず、一度循環器専門医にご相談ください。
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健康診断の心電図で「心房細動」「要精査」と指摘された
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最近、脈がバラバラに飛ぶ感じや、急に速くなることがある
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動悸や息切れが続いていて不安
「症状がないから大丈夫」「次の健診まで様子を見よう」という自己判断は危険です。
専門的な心エコー検査や24時間心電図(ホルター心電図)を用いて、あなたの心臓の現在の状態を正確に診断いたします。
「ちょっと心配だな」というそのお気持ちのまま、どうぞお気軽に当院の扉を叩いてください。
しっかりとサポートさせていただきます。
【次回予告】
心電図シリーズ第7回は、健診で文字だけ見ると「心臓が奇形なの!?」と誤解されやすい、「軸偏位(左軸・右軸)」と「時計方向回転」について解説します。
実は体型による個性であることが多いんです。
記事を書いた人
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院長:循環器内科専門医、不整脈専門医
志貴 祐一郎
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