
インフルエンザとは?
「子どもが夜になって、急に高い熱を出した」
「家族がインフルエンザになったけれど、自分は熱が高くない」
「検査は陰性だったのに、熱やだるさが続いている」
インフルエンザの流行時期には、このようなご相談が増えます。
インフルエンザは毎年多くの人がかかる身近な感染症ですが、症状の現れ方は年齢や体調によってさまざまです。
高い熱や関節痛が典型的とは限らず、子どもでは普段と違う言動、高齢の方では食欲低下や元気のなさが最初の変化になることもあります。
多くは数日から1週間ほどで回復しますが、子どもではインフルエンザ脳症、高齢者や基礎疾患のある方では肺炎などを合併し、重症化することがあります。
この記事では、インフルエンザの症状、検査を受けるタイミング、治療、ご家庭での過ごし方、受診の目安について分かりやすく解説します。
2026年シーズンの流行状況
厚生労働省によると、2026年第34週(8月17日~23日)の全国の定点当たり報告数は1.11となり、流行開始の目安である1.00を上回りました。
1999年以降では、2009年に次いで2番目に早い流行入りです(前年から流行状態が続いていた2023年を除く)。
まだ暑い時期でも、発熱や咳、強いだるさがある場合はインフルエンザの可能性があります。
インフルエンザとは?
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって起こる急性の呼吸器感染症です。
感染した人の咳やくしゃみなどに含まれる飛沫や、ウイルスが付着した手で口・鼻・目に触れることなどによって広がります。
一般的な風邪に比べて、発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、強いだるさなどの全身症状が比較的急に現れやすいことが特徴です。
一方で、のどの痛み、鼻水、咳など、風邪と似た症状もみられます。
ただし、症状だけでインフルエンザ、一般的な風邪、新型コロナウイルス感染症などを完全に見分けることはできません。
インフルエンザでも高熱が出ないことがあります。
特に高齢者、乳幼児、免疫機能が低下している方では、典型的な症状がそろわない場合があります。
主な症状
-
発熱、悪寒
-
頭痛
-
強いだるさ
-
関節痛、筋肉痛
-
咳、のどの痛み
-
鼻水、鼻づまり
-
食欲低下
子どもでは、吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状を伴うこともあります。

重症化に注意が必要な人
次の方は重症化しやすいため、症状が強くなくても早めの相談をおすすめします。
-
乳幼児、特に5歳未満の子ども
-
65歳以上の方
-
妊娠中、産後間もない方
-
喘息や慢性呼吸器疾患のある方
-
心臓病、糖尿病、腎臓病などの基礎疾患がある方
-
免疫機能が低下している方
-
高度の肥満がある方
お子さまは「普段との違い」に注意
子どもでは、まれにインフルエンザ脳症を起こすことがあります。
熱の高さだけでなく、「いつもより反応が鈍い」「視線が合いにくい」「意味の分からないことを話す」「急に走り出そうとする」など、普段との違いに注意してください。
ご高齢の方は高熱が出ないことも
高齢の方では、発熱や関節痛が目立たず、「食事がとれない」「急に動けなくなった」「なんとなく元気がない」「ぼんやりしている」といった変化だけで始まることがあります。
ご本人が「大丈夫」と話していても、普段の様子と違う場合は周囲の方が早めに相談することが大切です。
すぐに受診したほうがよい症状
迷わず119番を検討する症状
-
呼びかけても反応が乏しい、意識がもうろうとしている
-
息が苦しそう、肩で息をしている、会話が難しい
-
唇や顔色が青紫色になっている
-
けいれんが5分以上続く、または短時間に繰り返す
-
突然立てない、ぐったりして動けないなど、明らかに状態が悪い
当日中に医療機関へ相談したい症状
-
水分がほとんどとれない、尿が明らかに少ない
-
何度も吐く、強い頭痛が続く
-
胸の痛み、息苦しさ、ゼーゼーがある
-
いったん良くなった発熱や咳が再び悪化した
-
高熱が続き、全身状態が悪い
-
子どもが普段と違う言動をする、ぼんやりしている
-
基礎疾患が悪化している
-
乳幼児、高齢者、妊娠中の方など、重症化リスクが高い
体温の数字だけで緊急度は決まりません。
顔色、呼吸、水分がとれているか、意識や普段との違いを確認することが大切です。
呼吸が苦しい、意識がおかしい、けいれんが続いている場合は、検査ができる時間まで待たずに救急要請を検討してください。
インフルエンザの検査は、いつ受ければよい?
医療機関では、症状、発症からの時間、周囲の流行状況、診察所見などを総合して診断します。
必要に応じて、鼻の奥などから検体を採取する迅速抗原検査を行います。
発症して間もない時期は、鼻やのどのウイルス量がまだ少なく、インフルエンザであっても迅速検査が陰性になることがあります。
そのため、「発熱後すぐの陰性=インフルエンザではない」とは限りません。
一方、検査のために一律に長時間待つ必要はありません。
息苦しさ、意識の変化、水分がとれないなどの症状がある方や、重症化リスクの高い方は、検査のタイミングよりも早めの受診を優先してください。
検査を行うか、再検査が必要か、検査結果にかかわらず治療を始めるかは、診察時に医師が判断します。
インフルエンザの治療
ご家庭での基本的な対応
-
無理をせず、十分に休む
-
水、お茶、スープ、経口補水液などを少量ずつこまめにとる
-
食欲がなければ無理に食べず、水分を優先する
-
部屋をときどき換気する
-
同居する家族との接触をできる範囲で減らし、タオルの共用を避ける
-
咳やくしゃみがあるときは、マスクを含む咳エチケットを心がける
解熱鎮痛薬について
つらい発熱や痛みには、年齢や持病に応じて解熱鎮痛薬を使用します。
小児では一般にアセトアミノフェンが用いられます。
インフルエンザが疑われる子どもに、アスピリンを含む薬を使用してはいけません。
市販薬には複数の成分が含まれることがあるため、成分が分からない場合や持病・服用薬がある場合は、医師または薬剤師に確認してください。
抗インフルエンザ薬
抗インフルエンザ薬には、内服薬、吸入薬、点滴薬があります。
年齢、症状、発症からの時間、持病、妊娠の有無、薬を確実に使用できるかなどを考えて選択します。
一般に、発症後48時間以内に治療を開始すると効果が得られやすく、発熱期間が通常1~2日程度短くなることが期待されます。
子ども・未成年者の異常行動に注意
インフルエンザにかかった子どもや未成年者では、薬を使用しているかどうかにかかわらず、急に走り出す、外へ出ようとする、意味の通らないことを話すなどの異常行動が報告されています。
少なくとも発熱から2日間は、子ども・未成年者をできるだけ一人にせず、玄関や窓の施錠を確認し、ベランダに面していない部屋や1階で寝かせるなど、転落事故を防ぐ工夫をしてください。

いつから登園・登校できる?
学校保健安全法では、インフルエンザの出席停止期間は、原則として次の両方を満たすまでとされています。
-
発症した後5日を経過している
-
かつ、解熱した後2日を経過している(幼児は3日)
「発症した日」と「解熱した日」は数えず、その翌日を1日目として数えます。
抗インフルエンザ薬で早く熱が下がっても、すぐに登園・登校できるわけではありません。
職場復帰については、法律で全国一律の日数が定められているわけではありません。
勤務先の規定を確認し、発熱や強い症状が残っている間は外出を控えましょう。
咳やくしゃみが続く場合は、不織布マスクを着用するなど周囲への配慮も大切です。
家族にうつさないためにできること
-
流水と石けんでこまめに手を洗い、帰宅時などにはうがいも行う
-
咳やくしゃみがある人は、マスクを含む咳エチケットを行う
-
医療機関を受診するときや、高齢者など重症化リスクの高い人と接するときはマスクを着用する
-
部屋をときどき換気する
-
ドアノブや照明のスイッチなど、家族がよく触れる場所を清潔に保つ
-
タオルやコップなどの共用を避ける
看病する人を可能な範囲で一人に決めると、家族内で接触する人数を減らせます。
完全に別室にできない場合も、無理のない範囲で距離をとり、換気と手洗いを続けましょう。
インフルエンザワクチンについて
インフルエンザワクチンを接種しても、感染や発症を完全に防げるわけではありません。
しかし、発症をある程度抑え、肺炎や入院、死亡などの重症化を予防する効果が期待できます。
特に、高齢者、基礎疾患のある方、妊娠中の方、乳幼児など、重症化リスクの高い方は接種をご検討ください。
接種できるワクチンの種類や時期は、年齢、体調、流行状況などによって異なるため、医療機関へご相談ください。
2026年度インフルエンザワクチンのご案内
当院での診察・治療
しきファミリークリニックでは、小児科と内科が連携し、子どもから大人、ご高齢の方まで、インフルエンザが疑われる方を診察しています。
ご家族の中で同じような症状が続いている場合も、年齢や持病に応じてそれぞれの状態を確認します。
診察では、症状が始まった時刻、発熱の経過、家族・学校・職場での流行、食事や水分の摂取状況、基礎疾患などを確認します。
体温だけでなく、呼吸状態、意識、脱水の程度なども評価し、必要に応じてインフルエンザ迅速抗原検査を行います。
6歳以上で検査条件を満たす方には、専用カメラでのどを撮影し、咽頭画像と問診情報をAIで解析するインフルエンザ検査機器「nodoca(ノドカ)」も使用できます。
鼻の奥を綿棒でこする必要がないため、従来の検査が苦手な方では負担を軽くできる可能性があります。
ただし、年齢、発症からの時間、のどの撮影が可能か、新型コロナウイルス検査も必要かなどによって適した検査は異なります。
nodocaの結果だけで診断せず、症状や診察所見を合わせて医師が総合的に判断します。
検査結果だけで判断せず、新型コロナウイルス感染症、肺炎、溶連菌感染症など、ほかの病気の可能性も考えて診察します。
「家族がインフルエンザだから自分も同じだろう」「検査が陰性だったから大丈夫」と決めつけず、症状の経過全体を見ることが大切です。
抗インフルエンザ薬は、年齢、発症からの時間、症状、持病、生活状況などを踏まえてご提案します。
一度かかれば、そのシーズンはもうかからない?
インフルエンザには複数の型や系統があり、同じシーズン中に別のウイルスに感染することがあります。一度かかったあとも、手洗いや咳エチケットなどの対策を続けましょう。
まとめ
-
インフルエンザは、発熱、頭痛、関節痛・筋肉痛、強いだるさなどが比較的急に現れやすい感染症です
-
高熱が出ないこともあり、症状だけでは風邪や新型コロナウイルス感染症と完全に区別できません
-
発症直後の迅速検査は陰性になることがありますが、重い症状がある場合は検査のために受診を遅らせないことが大切です
-
呼吸困難、意識の変化、長く続くけいれんなどがある場合は、迷わず119番を検討してください。
-
子ども、妊娠中の方、高齢者、基礎疾患のある方は、早めに医療機関へ相談しましょう。
-
手洗い、うがい、咳エチケット、適切な場面でのマスク、ワクチン接種が予防と重症化対策の基本です。
判断に迷うときは、当院へご相談ください。
医療情報について
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個々の患者さんの診断や治療に代わるものではありません。症状や経過には個人差があります。実際の対応については、医療機関で医師の診察を受けてください。
参考資料
-
厚生労働省「令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」
-
厚生労働省「インフルエンザワクチン(季節性)」
-
厚生労働省「2026年8月28日 インフルエンザの発生状況について」
-
国立健康危機管理研究機構(JIHS)「インフルエンザ」
-
日本感染症学会「抗インフルエンザ薬の使用について」
最終更新:2026年9月
記事を書いた人
↓↓↓
院長:循環器内科専門医、不整脈専門医
志貴 祐一郎
院長プロフィール👈クリック

