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高血圧・血圧が高い|家庭血圧の測り方と受診の目安

「冬になってから血圧が高い」「健診で血圧を指摘された」「家と病院で数字が違う」。血圧を測る機会が増えると、どの数字を気にすればよいのか迷うことがあります。

血圧は日々変わります。1回の数値だけで一喜一憂せず、正しい条件で測った記録から、普段の状態を知ることが大切です。この記事では、高血圧の基準、家庭血圧の測り方、受診の目安、生活と治療の工夫を説明します。

今、突然の強い胸・背中の痛み、続く胸の圧迫感、急な強い息苦しさ、片側の手足の力が入らない、ろれつが回らない、突然の激しい頭痛、意識がおかしいなどの症状がある場合は、血圧の数値にかかわらず119番へ。測り直して様子を見たり、自分で運転したりしないでください。

この記事は主に成人を対象としています。小児、妊娠中・産後の血圧については、ここで示す成人の数値をそのまま当てはめず、担当医にご相談ください。

1.高血圧とは? 症状がなくても確認が必要な理由

血圧は、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力です。「上の血圧」は心臓が縮んだとき、「下の血圧」は心臓が広がったときの圧を表します。

高血圧は、この圧が高い状態が続くことです。自覚症状がないことも多く、体調だけでは判断できません。高い状態が長く続くと血管や臓器に負担がかかり、脳卒中、心臓病、腎臓病などにつながります。確認と治療を続ける目的は、将来のこうした病気を防ぐことです。

成人の高血圧の診断に用いる基準

測る場所 上の血圧 下の血圧
診察室 140 mmHg以上 90 mmHg以上
家庭 135 mmHg以上 85 mmHg以上

上または下のどちらかが当てはまる場合が対象です。例えば、家庭血圧が128/88 mmHgでも、下の血圧が基準に当てはまります。

ただし、1回の測定だけで高血圧と決めるわけではありません。診察室では別の日の測定も含め、家庭では数日間の記録から判断します。この表は診断の基準であり、薬で治療するときの目標や、救急車を呼ぶ基準とは異なります。

2.冬に血圧が上がりやすいのはなぜ?

寒さを感じると、体は熱を逃がさないよう血管を縮めます。そのため、冬は血圧が上がりやすくなります。暖かい部屋から寒い廊下・トイレ・脱衣所へ移るときなど、家の中の温度差も関係します。

また、鍋や麺類の汁、漬物などで塩分が増える、年末年始に飲酒や食事の量が増える、外出や運動が減るといった生活の変化も影響します。

「冬だから高くても仕方ない」と放置せず、普段との違いを記録しましょう。寒さ対策や生活習慣を見直しても高い状態が続く場合は、治療中の方も含めてご相談ください。

3.家庭血圧の正しい測り方

家庭血圧は、日常生活の中での血圧を知る手がかりです。家庭で使う血圧計は、二の腕(上腕)にカフ(腕帯)を巻くタイプをおすすめします。腕の太さに合うカフを選び、説明書に沿って使いましょう。

手首に巻くタイプも、使い方と測定値を確認したうえで使用できます。ただし、手首の位置や曲げ方によって測定値にばらつきが出やすいため、説明書に沿って装着し、手首を曲げずに心臓と同じ高さに保つことが大切です。心臓より低い位置では高めに、高い位置では低めに出ることがあります。

上腕式のほうが測定する位置を一定に保ちやすいため、これから選ぶ方には上腕式をおすすめします。すでに手首式をお使いの方は、測り方や値に不安があれば、血圧計を持参してご相談ください。正しい姿勢でも、上腕と手首では値に差が出る場合があります。

朝と夜、条件をそろえて測りましょう

タイミング 測る条件
朝 起床後1時間以内。トイレを済ませ、朝食と朝の降圧薬の服用前に測ります。
夜 就寝前に測ります。入浴や飲酒など、普段と違う条件があれば記録に添えます。

測定のために、処方された薬を飲む時刻を不必要に遅らせないでください。測り忘れた場合は服薬の指示を優先し、測った時刻や服薬との前後関係を記録しましょう。

  1. 寒くない静かな部屋で準備します。測定前の喫煙・飲酒・カフェイン摂取は避けます。
  2. 背もたれのある椅子に座ります。足を組まず、足の裏を床につけ、1~2分休みます。
  3. 腕を台にのせ、カフを心臓の高さにします。厚い服の上から巻いたり、袖を強くまくって腕を締めつけたりしないようにします。
  4. 会話せず、体を動かさずに測ります。1回の機会に原則2回測り、その平均を用います。
  5. 測った値を記録します。2回分と平均が残せると便利です。1回しか測れなかった日は、その値を記録します。

「よい数字」より「普段の記録」が役立ちます

低い値だけを選んだり、下がるまで何度も測り続けたりせず、高かった値も残してください。血圧手帳だけでなく、血圧計の保存データやアプリの記録も役立ちます。受診時に見せられる形でお持ちください。

まずは朝・夜を1週間程度、できれば毎日記録してみましょう。診断には通常、5日以上の朝と夜それぞれの平均を参考にします。ただし、著しい高値や危険な症状があるときは、記録がそろうのを待たずに相談・受診してください。

4.病院と家で血圧が違うのはなぜ?

血圧は緊張、活動、睡眠、測る時間などで変わります。病院と家庭で違いがあること自体は珍しくありません。

  • 白衣高血圧:病院や健診では血圧が高くなるのに、家庭では高くない状態です。診察時の緊張などが関係します。
  • 仮面高血圧:病院では血圧が高くないのに、家庭では高い状態です。病院での測定だけでは見逃されることがあります。

「白衣高血圧」「仮面高血圧」は、通常、降圧薬を使っていない方について用いる言葉ですが、治療中の方にも同じように病院と家庭で数値が異なることがあります。家庭で必ず低くなるとは限りません。どちらか片方の数字だけで薬の必要性を判断せず、両方の記録を医師に見せてください。

差が大きい場合は、測り方や血圧計も確認します。白衣高血圧と判断された場合でも、定期的な確認を続けることが大切です。

5.血圧が高いときの受診の目安

家庭で高い状態が続くときは、症状がなくても相談を

家庭で測った数日間の平均が上135 mmHg以上、または下85 mmHg以上なら、記録を持って受診してください。健診で高血圧を指摘された場合も、次の健診までそのままにせず相談しましょう。

治療中の方は、主治医と決めた目標を超える状態が続く場合にご相談ください。急に普段より高くなった場合や、高い値が繰り返し出る場合は、予約日を待たずに連絡してください。

著しく高い値が出たとき

普段よりかなり高い値が出ても、まずは慌てずに症状を確認しましょう。気になる症状がなければ、座ってしばらく安静にしてから、もう一度測り直してください。上180 mmHg以上、または下120 mmHg以上などの著しい高値が続く場合は、症状がなくても早めにかかりつけ医へ連絡し、受診の時期を相談してください。

高い数値が出ただけで、直ちに救急受診が必要になるわけではありません。ただし、著しい高値を放置したり、自己判断で薬を追加したりしないでください。妊娠中・産後の方は、この目安によらず担当医の指示に従ってください。

危険な症状があるときは、測り直しより119番を優先

突然の強い胸・背中の痛み、胸の圧迫感が続く、急な強い息苦しさ、片側の手足に力が入らない、ろれつが回らない、突然の激しい頭痛、意識がおかしいときは、血圧の値にかかわらず119番へ連絡してください。自分で運転して受診しないでください。

受診時は、家庭血圧の記録、健診結果、お薬手帳をお持ちください。いつから変わったか、症状の有無も伝えると診療に役立ちます。ただし、緊急時は持ち物をそろえるために通報を遅らせないでください。

6.診察では何を確認し、どんな検査をする?

診察では、血圧が高くなった時期や家庭での推移、持病、家族の病歴、食事・運動・飲酒・喫煙、睡眠などを確認します。いびきや日中の眠気も、原因を考える手がかりになります。

服薬中の方は、飲み忘れや副作用の有無もお伝えください。市販の痛み止め、かぜ薬、漢方薬、サプリメントなどが血圧に関わる場合もあるため、処方薬以外も確認します。

  • 血液検査:腎臓の働きや電解質、血糖、脂質などを確認します。
  • 尿検査:尿たんぱくなど、腎臓への影響を確認します。
  • 心電図検査:心臓への負担や不整脈などの手がかりを調べます。

全員に同じ検査をするわけではなく、状態や過去の結果に応じて選びます。若い頃から高い、急に上がった、治療しても下がりにくいなどの場合は、腎臓・ホルモンの病気や睡眠時無呼吸などが隠れていないか調べることもあります。必要に応じて専門の医療機関をご紹介します。

7.生活習慣の改善と薬による治療

減塩は、毎日の小さな工夫から

高血圧の方は、食塩1日6g未満が基本の目標です。「薄味を我慢する」だけでなく、汁を残す、調味料をかける前に味を見るなど、続けやすい方法を選びましょう。

  • 麺類や鍋の汁は飲み干さず、汁物の量・回数を減らす。
  • しょうゆやソースは「かける」より少量を「つける」。
  • だし、酢、香辛料、かんきつの香りを活用する。
  • 漬物や加工食品の量を見直し、表示の「食塩相当量」を比べる。

野菜などを取り入れ、食事全体のバランスも整えます。ただし、腎臓病や高カリウム血症がある方は、野菜・果物の増やし方や、カリウムを含む減塩調味料について主治医に確認してください。

体重・お酒・たばこ・活動を見直す

体重が多めの方は、間食や夜遅い食事を見直すなど、無理のない体重管理を続けましょう。やせている方や食事量が少ない高齢者に、一律の減量を勧めるものではありません。

お酒は量と回数を減らし、飲まない日を設けましょう。飲まない方が健康のために飲み始める必要はありません。喫煙している方は、血管を守るために禁煙を目指します。

体調と血圧が落ち着いている方は、歩行などの無理のない運動を少しずつ取り入れましょう。冬は寒い早朝を避け、暖かい時間帯や室内を利用します。血圧が著しく高い場合や、動くと胸痛・息切れが出る場合は、運動を始める前に相談してください。

冬は部屋の温度差を小さくする

起床時や着替えの前に部屋を暖め、廊下・トイレ・脱衣所の寒さにも気を配りましょう。外へ出るときは、上着やマフラーなどで防寒します。

入浴では脱衣所・浴室を暖め、熱い湯や長湯を避けましょう。特に高齢の方は、湯温41℃以下・湯につかる時間10分までを目安にし、飲酒後の入浴を避け、入る前に家族へ声をかけてください。入浴事故には血圧の変動だけでなく、体温の上昇や意識障害なども関係します。

薬は「将来の病気を防ぐ」ための手段です

生活習慣の改善に加え、血圧の高さ、心臓・腎臓の状態、ほかの病気などを踏まえて薬の必要性を判断します。必要な方は、生活改善と薬による治療を並行して行います。

薬には、血管を広げるもの、血圧を上げるホルモンの働きを抑えるもの、余分な塩分や水分の排出を促すものなどがあります。1種類だけではなく、少量ずつ組み合わせる場合もあります。

測る場所 治療中の原則的な降圧目標
診察室 上130 mmHg未満、かつ下80 mmHg未満
家庭 上125 mmHg未満、かつ下75 mmHg未満

これは「高血圧管理・治療ガイドライン2025」に基づく原則です。目標は体調や持病、ふらつきなどの副作用、治療に耐えられるかを踏まえて個別に調整します。「高血圧かどうかを判断する基準」と「治療で目指す血圧」は異なります。治療では、脳卒中や心臓病を防ぐために、診断の基準より低い値を目標にします。ただし、1回の測定で目標を超えても、自分で薬の量を変えず、日々の記録をもとに主治医と相談しましょう。

血圧が下がったのは薬が効いているためかもしれません。自己判断で中止・減量せず、低い値が続く、立ちくらみがある、薬が負担に感じるなどの場合はご相談ください。

8.よくある質問

高かったので、何度も測り直してもよいですか?

普段の測定は原則2回とし、その平均を使います。低い数字が出るまで繰り返さず、最初の値も残しましょう。著しい高値や危険な症状がある場合は、第5項の受診の目安に沿って対応してください。

薬で血圧が下がったら、やめてもよいですか?

自己判断ではやめないでください。生活習慣の改善などで減薬できる場合もありますが、記録と体調を確認して医師が判断します。

冬だけ高い場合も、相談が必要ですか?

はい。季節に応じた生活の工夫や、治療の調整が必要になることがあります。夏と冬の記録を比べられると役立ちます。

下の血圧だけが高い場合も、高血圧ですか?

下の血圧だけでも診断基準に当てはまります。家庭で下85 mmHg以上が続く場合は、上の血圧が高くなくてもご相談ください。

症状がなくても受診は必要ですか?

高血圧は症状がないことも多いため、高い状態が続くなら受診が必要です。「正しく測る」「生活を整える」「記録を持って相談する」の3つを、できることから始めましょう。

しきファミリークリニックでは、家庭血圧や健診結果を確認しながら、生活習慣と治療について一緒に考えます。数字だけで悩まず、気になる記録をお持ちください。

医療情報について

この記事は、高血圧について理解を深めていただくための一般的な情報です。診断、治療目標、薬の選択は、年齢・体調・持病・併用薬などによって異なります。実際の治療は、診察時の説明と処方された薬の指示に従ってください。

もっと知りたい方へ

血圧の基本や家庭での測り方、生活習慣の工夫について、図を交えて紹介されています。

厚生労働省「血圧」― 血圧の基本と家庭での測り方

主な参考文献

日本高血圧学会 編『高血圧管理・治療ガイドライン2025』ライフサイエンス出版。

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しきファミリークリニック 院長 志貴祐一郎

この記事の執筆・医学監修

しきファミリークリニック 院長

志貴 祐一郎

循環器専門医・不整脈専門医

「なんでも聞ける」かかりつけ医として、病気や症状をわかりやすくお伝えします。

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