
AGA(男性型脱毛症)とは?
薄毛の原因・治療と受診の目安
「以前より生え際が後退してきた」
「頭頂部の地肌が目立つようになった」
「髪が細くなり、ボリュームが減った気がする」
こうした変化には、AGA(男性型脱毛症)が関係していることがあります。
AGAには、進行を抑えたり、髪の状態の改善を目指したりする治療があります。ただし、抜け毛の原因は一つではなく、適した治療や得られる効果も人によって異なります。
この記事では、AGAの特徴、ほかの脱毛症との違い、治療の選択肢と注意点を説明します。
急に抜け毛が増えた、円形に毛が抜けた、頭皮に赤みや痛みがある場合は、AGA以外の原因も考えられます。自己判断で育毛剤を使い続けず、医療機関に相談しましょう。

目次
1.AGAとはどのような脱毛症?
AGAは、思春期以降の男性にみられる、徐々に進行する脱毛症です。
主に、額の生え際が後退する、頭頂部が薄くなるといった変化が現れます。両方が同時に進むこともあり、始まる年齢や進む速さには個人差があります。
特徴は、単に髪が抜けるだけでなく、一本一本の髪が細く短くなり、全体のボリュームが減っていくことです。抜け毛の本数があまり気にならなくても、髪の太さや生え際の変化から気づくことがあります。
2.薄毛が進む仕組み
髪は、成長して伸びる「成長期」、成長が止まり毛包が縮む「退行期」、次の成長に備えて休む「休止期」を繰り返しています。このサイクルを「毛周期」といいます。
AGAでは、男性ホルモンから作られるDHT(ジヒドロテストステロン)が毛根に作用し、髪が成長する期間を短くします。そのため、十分に太く長く育つ前に生え替わり、細い髪が増えていきます。
この変化には遺伝的な体質も関係します。男性ホルモンの量だけで決まるものではなく、毛根がホルモンの影響を受けやすいかどうかも重要です。
AGAは、髪の洗い方が悪いから起こるわけではありません。ご自身の生活や頭皮ケアだけを原因と考える必要はありません。
3.AGA以外の原因を考えるとき
すべての抜け毛がAGAというわけではありません。経過や頭皮の状態によっては、別の原因を調べる必要があります。
| 気になる変化 | 考える原因の例 |
|---|---|
| 短期間で急に抜け毛が増えた | 発熱や体調不良の後の脱毛、急激な減量、薬の影響など |
| 円形・まだら状に毛が抜けた | 円形脱毛症など |
| 頭皮に赤み、強いかゆみ、痛み、目立つふけがある | 頭皮の炎症や感染症など |
| 頭全体の髪が薄くなり、だるさなどもある | 鉄不足、甲状腺の病気など |
AGAとほかの原因が重なっている場合もあります。急な変化や頭皮の症状があるときは、薄毛の薬を始める前に診察を受けましょう。必要に応じて、皮膚科などでの詳しい診察につなげます。
4.診察と検査で確認すること
診察では、いつから変化に気づいたか、どの部分が薄くなったか、ご家族の薄毛の状況、頭皮の症状などを伺います。持病、服用中の薬、最近の体調や体重の変化も大切な情報です。
そのうえで、生え際や頭頂部の状態、髪の太さ、頭皮の炎症などを確認します。血液検査だけでAGAを診断することはできません。
当院では、内服治療にあたり肝機能・腎機能などを血液検査で確認します。治療開始後も定期的に確認し、検査の時期は健康状態や前回の結果に応じて調整します。
健診などの結果をお持ちの場合は、検査の重複を避けられることがあります。受診時には、お薬手帳と、最近の健診・血液検査の結果をご持参ください。
PSA(前立腺に関する血液検査)は、年齢やご家族の病歴などを踏まえ、必要な方に行います。すべての方に一律で行う検査ではありません。
5.内服薬・外用薬による治療
飲む薬と塗る薬では、働きが異なります
AGAの薬物治療では、主に次の薬を使います。
| 治療 | 主な働き |
|---|---|
| フィナステリド・デュタステリドの内服 | DHTが作られる過程を抑え、薄毛の進行を抑制します。髪の状態の改善がみられることもあります。 |
| ミノキシジルの外用 | 頭皮に塗り、毛包に働きかけて発毛や髪の成長を促します。 |
日本皮膚科学会のガイドラインでは、男性のAGAに対し、フィナステリド・デュタステリドの内服とミノキシジル5%の外用が推奨されています。
当院では、内服薬はフィナステリドまたはデュタステリドのどちらか1種類を1日1回服用します。診察のうえ、ご希望や状態に応じて外用薬も検討します。
効果の判定には、数か月かかります
フィナステリド・デュタステリドの効果判定には、通常6か月程度の治療が必要です。国内承認のミノキシジル5%外用薬も、効果を確認するまでに少なくとも4か月程度の使用が必要とされています。
数週間で変化を感じないからといって、効かないとは判断できません。
治療の目標には、髪を増やすことだけでなく、進行を抑えて今の状態を保つことも含まれます。ただし、効果には個人差があり、以前の髪の状態まで戻ることを保証するものではありません。
同じ照明や角度で撮った写真などを参考に、変化を確認します。効果が乏しい場合は、そのまま漫然と続けず、診断や治療内容を見直します。
中止すると、再び薄毛が進むことがあります
薬で得られた効果を維持するには、通常は治療の継続が必要です。中止すると、得られた効果が失われ、薄毛が再び進むことがあります。
続けるかどうかは、効果、副作用、費用や使用の負担を確認しながら判断します。
当院で扱う外用薬「ヴェラルティス VL07」について
当院では、ミノキシジル7%配合の外用薬「ヴェラルティス VL07」を扱っています。1日2回、1回5プッシュを頭皮に塗布します。使用後は手を洗い、自己判断で量や回数を増やさないでください。
VL07は、日本国内で承認された医薬品ではありません。国内承認のミノキシジル5%製剤とは濃度や配合が異なり、5%製剤の研究結果をそのままVL07の効果・安全性に当てはめることはできません。「濃度が高いほどよく効く」とは限らないため、特徴と注意点を理解したうえで使用を検討します。
- 入手経路:Sapphire Healthcare LLC製の製品を、医師が輸入代行業者を通じて個人輸入しています。
- 国内の承認薬:国内にはミノキシジル5%配合などの承認された外用薬があります。
- 海外の承認・安全性:本製品の海外での承認状況や長期的な安全性に関する情報は限られ、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。
- 公的救済制度:国内未承認薬であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
輸入医薬品については、厚生労働省「医薬品等の個人輸入に関する注意」もご参照ください。
6.治療中に知っておきたい注意点
内服薬の主な副作用
フィナステリド・デュタステリドでは、性欲の低下、勃起や射精に関する変化、乳房の痛みや腫れ、気分の落ち込み、肝機能障害などが報告されています。性機能に関する症状が、中止後も続いたとの報告もあります。
精液への影響もあるため、妊娠を希望している方や不妊治療中の方は、治療前にご相談ください。
強いだるさ、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなるなどの症状が出た場合は、服用を中止して速やかに相談してください。
また、フィナステリドでは、薬との因果関係は明らかではないものの、自殺を考えるなどの症状が報告されています。自分を傷つけたい気持ちが現れた場合は服用を中止し、すぐに医療機関へ連絡してください。
使用できない方・事前の相談が必要な方
これらの内服薬は男性のAGAに用いる薬で、女性や子どもには使用しません。20歳未満での安全性・有効性も確立されていません。
薬のアレルギー、肝臓の病気、うつ病などの既往、服用中の薬は、事前にお伝えください。重い肝機能障害がある方には、デュタステリドを使用できません。
PSA検査では、薬の服用を必ず伝えてください
フィナステリド・デュタステリドは、前立腺の検査に使われるPSA値を低下させます。そのため、結果の判断には薬の影響を考慮する必要があります。
健診や泌尿器科などでPSA検査を受ける際は、薬の名前と服用期間を必ず伝えてください。最近中止した場合も、その時期をお伝えください。
錠剤の取り扱いと保管について
当院で処方するフィナステリド・デュタステリドは、いずれも錠剤です。割ったり砕いたりせず、そのまま服用してください。
成分が皮膚から吸収されることによる影響を避けるため、女性や子どもは、割れたり砕けたりした錠剤に触れないでください。特に妊娠中・妊娠の可能性がある方は、胎児への影響に注意が必要です。破損した錠剤やその粉に触れた場合は、直ちに石けんと水で洗い流してください。
薬をほかの人に渡さず、子どもの手の届かない場所で保管しましょう。
外用薬も、体調の変化に注意してください
ミノキシジル外用薬では、頭皮のかゆみ・赤み・かぶれのほか、動悸、めまい、胸の痛み、むくみなどに注意が必要です。こうした症状が出た場合は、使用を中止して相談してください。
強い胸痛や息苦しさ、意識が遠のく症状がある場合は、119番などで救急受診してください。
心臓・腎臓の病気、血圧の異常がある方は、使用前にお伝えください。頭皮に傷や炎症がある場合も相談が必要です。これらはミノキシジル外用の注意点であり、VL07の安全性が国内承認薬と同等であることを示すものではありません。
7.生活習慣と頭皮ケア
偏りの少ない食事、十分な睡眠、無理な減量を避けることは、髪を含めた全身の健康を保つうえで大切です。
洗髪では爪を立てず、頭皮を強くこすりすぎないようにしましょう。かゆみや赤みが続く場合は、洗い方だけで解決しようとせず相談してください。
ただし、シャンプーやサプリメントだけでAGAを治療できると考えるのは適切ではありません。頭皮ケアは清潔さや快適さを保つためのもので、AGAの薬物治療とは役割が異なります。
8.よくあるご質問
Q.薄毛が軽いうちでも相談してよいですか?
はい。「以前より髪が細くなった」「生え際が気になる」という段階でもご相談いただけます。
まずAGAかどうかを確認し、ご本人の希望も踏まえて治療の必要性を考えます。相談したからといって、必ず薬を始めるわけではありません。
Q.治療を始めたら、一生続けなければいけませんか?
続けることが義務になるわけではありません。ただし、得られた効果を保つには、通常は継続が必要です。
効果や副作用、費用、生活への負担を確認しながら判断します。中止を希望する場合もご相談ください。
Q.飲むミノキシジルも、塗る薬と同じですか?
同じではありません。ミノキシジルの内服は、日本ではAGA治療薬として承認されていません。日本皮膚科学会の2017年版ガイドラインでも、脱毛症に対する内服は推奨されていません。
外用薬とは安全性の考え方が異なります。自己判断での服用や個人輸入は避けてください。
9.当院へのご相談
しきファミリークリニックでは、頭皮や脱毛の状態、経過、持病、服用中のお薬などを確認し、治療が適切と判断した場合にAGA治療を行っています。
治療中は、効果や副作用を確認しながら継続を判断し、1~2か月ごとの通院を目安としています。AGA治療は健康保険の適用がない自費診療です。
「AGAなのか知りたい」「治療のメリットと注意点を聞いてから考えたい」という方もご相談ください。
受診には予約が必要です。「内科外来」をご予約ください。予約なしでの自費診療には対応しておりません。
受診時には、お薬手帳や服用中のお薬が分かるもの、健診・血液検査の結果をお持ちください。当院で検査を行う場合は、基本的に結果を確認してから処方を開始します。
当院で扱う薬剤、最新の費用、受診方法は、自費診療ページをご確認ください。相談のみで処方を行わない場合も、所定の診察料がかかります。
当院のAGA治療・費用のご案内 (準備中)
医療情報について
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個々の患者さんの診断や治療に代わるものではありません。症状や経過には個人差があります。実際の対応については、医療機関で医師の診察を受けてください。
参考資料
- 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」:脱毛症Q6・脱毛症Q7
- PMDA:フィナステリド錠「サワイ」電子添文
- PMDA:デュタステリド錠0.5mgZA「明治」電子添文
