
ED(勃起障害)とは?原因・治療薬と受診の目安
「以前より硬さが足りない」「途中で勃起が続かなくなる」「うまくいかないことが増えてきた」。
こうした変化が気になっていても、誰に相談すればよいのか分からず、一人で悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
EDは、年齢だけでなく、血管や神経の働き、持病、薬、ストレスなどが関係する健康の悩みです。「年齢のせいだから」「気持ちの問題だから」と決めつける必要はありません。
この記事では、EDの原因や受診の目安、治療薬の違い、安全に治療を受けるための注意点を説明します。
目次
1.EDとは?「勃起しない」だけではありません
EDは「Erectile Dysfunction」の略で、性行為に十分な勃起が得られない、または維持できない状態が続いたり、繰り返されたりすることをいいます。
まったく勃起しない場合だけでなく、次のような悩みも含まれます。
- 勃起するものの、十分な硬さにならない
- 挿入できても、途中で柔らかくなる
- 勃起できるときと、できないときがある
疲れや緊張などで、一時的にうまくいかないことはあります。一度の出来事だけでEDと決まるわけではありませんが、繰り返す場合や、ご本人が気になっている場合は相談してください。
「まったくできなくなってから受診する」必要はありません。
2.EDの原因と、背景にある健康状態
勃起には、性的な刺激に対する脳や神経の反応と、陰茎に血液が流れ込む仕組みが関係しています。そのため、体と心のさまざまな変化が影響します。
体の状態が関係するもの
糖尿病、高血圧、脂質異常症、動脈硬化などは、血管や神経の働きを通じてEDに関わります。男性ホルモンの低下、神経の病気、骨盤内の手術後などが原因になる場合もあります。
生活習慣や薬が関係するもの
喫煙、肥満、運動不足、過度の飲酒なども関係します。また、一部の降圧薬や抗うつ薬など、治療中の薬が影響する場合があります。
ただし、薬が原因と思っても、自己判断で中止しないでください。 持病そのものがEDに関係していることもあり、処方内容と健康状態を合わせて確認する必要があります。
気持ちや状況が関係するもの
仕事や家庭でのストレス、緊張、過去にうまくいかなかった経験への不安などが影響することもあります。
身体的な要因と心理的な要因は、はっきり分かれるとは限りません。血流の変化をきっかけに不安が強くなるなど、複数の要因が重なる場合もあります。

EDと心臓・血管の健康との関係
EDと心血管疾患には、糖尿病、高血圧、喫煙など、共通する背景があります。血管の働きの変化が、EDとして先に現れることもあります。
ただし、EDがあるからといって、心臓病があると決まるわけではありません。
EDの相談を、血圧・血糖・脂質などを確認し、全身の健康を見直すきっかけにすることが大切です。歩行や階段で胸が苦しくなる、息切れが強いなどの症状がある場合は、診察時に必ずお伝えください。
3.受診の目安と診察・検査
次のような場合は、一度ご相談ください。
- 硬さや持続の不足が繰り返し起こる
- 気になる状態が続き、不安や負担を感じている
- 糖尿病や高血圧などの持病がある
- 薬を飲み始めてから変化を感じた
- 性欲の低下など、ほかの変化も気になっている
診察では、いつから・どのような場面で症状があるか、朝の勃起の変化、持病、服用中の薬、生活習慣などを確認します。治療の安全性を考えるため、運動時の胸痛や息切れについても伺います。
血圧測定や診察に加え、必要に応じて血液検査や心電図検査などを行います。症状によっては、男性ホルモンの検査や専門の医療機関での評価が必要になる場合もあります。
全員に同じ検査を行うわけではありません。 お薬手帳や、最近の健康診断・血液検査の結果があれば、お持ちください。
セルフチェックは、相談のきっかけに
当院の自費診療ページには、SHIMによるセルフチェックを掲載しています。
SHIMは症状を整理するための参考であり、点数だけで診断が確定するものではありません。性的刺激や性交の機会がなかった場合は、そのことが点数に反映されるため、結果の解釈には注意が必要です。
点数とあわせて、実際に困っていることをお伝えください。
4.ED治療薬の働きと、薬による違い
EDの内服治療では、PDE5阻害薬という種類の薬が用いられます。性的刺激を受けたときに陰茎へ血液が流れ込みやすくなるように働き、勃起とその維持を助けます。
性的刺激があって初めて働く薬であり、性欲を増やす薬ではありません。 飲むだけで自動的に勃起したり、作用している間ずっと勃起し続けたりするものではありません。
※作用の仕組みを簡略化したイメージです。
シルデナフィルとタダラフィルの違い
| 比較する点 | シルデナフィル | タダラフィル |
|---|---|---|
| 効き始めの目安 | 服用後およそ30~40分前後 | 服用後およそ1~3時間 |
| 食事との関係 | 食事と一緒に飲むと、効果が出るのが遅れることがある | 食事の有無にかかわらず服用できる |
| 薬の選択で考えること | 食事と服用のタイミングを確認する | 比較的長い時間にわたり、勃起を助ける働きがある |
| 当院の取り扱い | 50mg製剤 | 10mg・20mg製剤 |
薬の選択は単純な強さの比較ではなく、生活の予定、効果、副作用、持病、併用薬などを踏まえて行います。
どちらも服用は1日1回まで、次の服用まで24時間以上あけることが基本です。 ただし、腎機能や併用薬などによっては、少ない用量や、さらに長い服用間隔が必要です。処方時に指示された使い方を守ってください。
タダラフィルの「36時間」とは?
タダラフィルについて、「効果が36時間続く」と聞いたことがある方もいるかもしれません。
海外の臨床試験では、タダラフィル10mg・20mgを服用した群で、服用36時間後を目安に試みた性交の成功率が、プラセボを服用した群より改善しました。
これは、36時間ずっと勃起するという意味でも、すべての方に36時間の効果を保証するという意味でもありません。 性的刺激があるときに勃起を助ける働きが、比較的長く残ることを示しています。
当院ではタダラフィル10mgから開始し、効果・副作用・健康状態を確認したうえで、医師が20mgへの増量の可否を判断します。効き方が不十分でも、ご自身で錠数を増やさないでください。
バルデナフィルについては、診察のうえで取り寄せに対応しています。
5.治療薬を安全に使うための注意点

主な副作用
頭痛、顔のほてり、鼻づまり、胃の不快感などが起こることがあります。シルデナフィルでは色の見え方の変化、タダラフィルでは背中や筋肉の痛みがみられる場合もあります。
症状が強い、長引く、繰り返す場合は、処方した医療機関に相談してください。めまいや見え方の異常があるときは、運転や危険な作業を避けましょう。
一緒に使えない薬があります
特に重要なのは、次の薬との組み合わせです。
- 硝酸薬・一酸化窒素(NO)供与薬:ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、ニコランジルなど。ED治療薬との併用で、血圧が危険なほど下がるおそれがあります。
- リオシグアト〈アデムパス〉:肺高血圧症などに用いる薬で、併用できません。
- アミオダロンの内服薬〈アンカロンなど〉:不整脈の治療薬です。シルデナフィルとは併用できません。
狭心症の薬は、毎日の飲み薬だけでなく、発作時の舌下錠・スプレー・貼り薬も確認が必要です。
このほか、前立腺肥大症の薬や一部の抗菌薬・抗真菌薬・抗ウイルス薬などにも注意が必要です。他院の処方薬、薬局で購入した薬、サプリメントを含め、使用しているものをお伝えください。
持病によっては使用できない場合があります
心臓病があっても、状態が安定しており、併用薬などの条件を満たせば、ED治療を検討できる場合があります。一方、性行為そのものが心臓に負担となる状態では、まず心臓の治療を優先します。
最近の心筋梗塞・脳卒中、非常に低い血圧、十分に管理されていない高血圧、重い肝機能障害、網膜色素変性症などでは、薬を使用できない場合があります。使用できない条件は、薬によって異なります。
また、高齢の方や肝臓・腎臓の機能が低下している方では、通常より少ない用量からの開始など、慎重な判断が必要です。
年齢だけでなく、持病・併用薬・検査結果を合わせて判断することが大切です。
こんな症状は、すぐに対応してください
① 胸の痛み、強い息苦しさ、失神・意識が遠のく症状
性行為を中止して119番へ連絡し、服用したED治療薬の名前・量・服用時刻を伝えてください。
ニトログリセリンなどを自己判断で使用しないでください。救急隊や医師が、薬の影響を踏まえて対応する必要があります。
② 勃起が4時間以上続く
痛みがなくても、すぐに救急外来や泌尿器科を受診してください。翌日まで待たず、早い段階で治療を受けることが大切です。
③ 急に見えにくい・見えない、急に聞こえにくい
服用を中止し、速やかに眼科・耳鼻咽喉科などの医療機関を受診してください。薬との因果関係がはっきりしない場合もありますが、早急な確認が必要な症状です。
6.生活の中でできること
EDの治療では、薬とあわせて生活習慣や持病の管理を見直すことも大切です。
- 禁煙する
- 体調に合った運動を続ける
- 肥満がある場合は、無理のない減量に取り組む
- 飲み過ぎを避ける
- 睡眠や休養を確保する
- 糖尿病・高血圧・脂質異常症などの治療を続ける
ストレスや不安が強い場合には、その負担への対応も考えます。一人で抱え込まず、話せる範囲で医師にお伝えください。
生活習慣の改善だけで必ず治るわけではありませんが、体の健康と勃起機能の両方を支える取り組みになります。
個人輸入や出所の分からない薬に注意してください
個人輸入や出所の分からないインターネット販売の薬には、偽造品や、表示と異なる成分・量の製品が含まれる危険があります。見た目だけで品質を判断することはできません。
ED治療薬は、持病や併用薬の確認が必要な薬です。医療機関で相談し、処方された薬を指示どおりに使用してください。
7.よくあるご質問
Q.若い人でもEDになりますか?
はい。若い方でも、ストレスや緊張、持病、薬などが関係して起こります。年齢だけで原因を決めつけず、症状と健康状態を確認することが大切です。
Q.一度薬を飲んで効かなければ、治療は難しいのでしょうか?
一度だけでは判断できません。服用のタイミングや食事、性的刺激、緊張などが影響する場合があります。
まず使い方を確認し、必要に応じて医師が治療内容を見直します。自己判断で増量せず、どのように服用して、どう感じたかをお伝えください。
Q.薬が使えない場合も、相談できますか?
はい。症状や持病を確認し、今後の対応をご相談いただけます。薬を処方できない場合や、詳しい検査・ほかの治療が必要な場合には、専門の医療機関への相談をご案内します。
相談したら必ず薬を処方される、というわけではありません。
8.当院でのEDのご相談
岡崎市のしきファミリークリニックでは、EDのご相談を自費診療で受け付けています。
内科・循環器内科の立場から、症状だけでなく、持病や服用中の薬、心臓・血管の健康状態にも目を向け、治療方法を一緒に考えます。
当院では、安全性を考慮して処方対象を限定しています。高齢の方や、重い肝機能・腎機能障害のある方へのED治療薬の処方は行っていません。 そのほかにも、健康状態や併用薬によっては当院で処方できない場合があります。必要に応じて、専門の医療機関への相談をご案内します。
これは当院の診療方針であり、該当する方がすべての医療機関でED治療を受けられないという意味ではありません。
診察では、必要に応じて血液検査や心電図検査などを行います。当院で検査する場合は、基本的に結果を確認してから処方を開始します。持参された健診結果などで必要な確認ができれば、当日処方できる場合もあります。
受診は予約必須です。「内科外来」をご予約ください。予約なしでの自費診療には対応していません。
取り扱う薬の最新の費用や、受診・受け取りの方法については、下記をご覧ください。
当院のED治療・費用・受診方法はこちら 準備中
「こんなことを聞いてよいのかな」と遠慮せず、まずは気になっていることをお話しください。
医療情報について
この記事は、EDについて理解を深めていただくための一般的な情報です。個々の患者さんの診断や治療に代わるものではありません。診断や治療薬の選択は、症状・持病・併用薬などによって異なります。実際の服用は、診察時の説明と処方された薬の指示に従ってください。
参考資料
- 日本泌尿器科学会:勃起力(ぼっきりょく)が低下した
- 日本性機能学会・日本泌尿器科学会編:ED診療ガイドライン第3版(2018年・旧版)
- シルデナフィル錠25mgVI・50mgVI「SN」電子添文(PMDA)
- タダラフィル錠10mgCI・20mgCI「サワイ」電子添文(JAPIC掲載)
- Young JM, et al. J Androl. 2005;26:310–318.
- Kloner RA, et al. Princeton IV consensus guidelines. J Sex Med. 2024;21:90–116.
